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COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、慢性的な肺の炎症によって肺機能が低下し、肺内の空気の流れが悪くなった状態の総称です。かつて肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていた疾患も、現在ではCOPDに含まれます。
主に長期間の喫煙習慣が原因で生じ、中高年に好発するために「肺の生活習慣病」とも呼ばれています。症状がゆっくりと進行していくため気づかないことも多いですが、進行すると肺機能の低下によって日常生活に支障をきたし、さらに悪化すると心血管疾患や全身疾患を合併することもあります。肺の損傷が進むと元に戻らなくなることもあるので、早めの治療が大切です。
COPDの症状
COPDの主な症状は以下の通りです。咳や痰などはありふれた症状で、特に初期段階では軽度であるため見過ごしがちですが、重症化すると日常生活にも影響するようになります。
咳・痰
痰の絡んだ咳が慢性的に起こります。気管支喘息や突発性呼吸困難などが合併することもあります。
息切れ
肺機能の低下によって息切れが起こりやすくなります。運動時や階段の上り下りで息切れするほか、進行すると日常のわずかな動作でも息切れを起こしやすくなります。
喘鳴
呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューとした喘鳴(ぜんめい)音が聞こえることがあります。
胸部の圧迫感
胸部に圧迫感が生じ、常に重苦しい感じが続くこともあります。
COPDの合併症
COPDは様々な疾患を合併することがあります。肺疾患だけでなく糖尿病や骨粗鬆症などの全身疾患に繋がることもあるため、全身疾患が起こることもあるため、COPDは「全身の病気」と言うことができます。
肺疾患
- 肺炎
- 気管支喘息
- 気胸
- 肺がん
心臓血管系疾患
- 動脈硬化
- 心筋梗塞
- 脳卒中
全身疾患
- 糖尿病
- 骨粗鬆症
- うつ
COPDの検査・診断
呼吸に関する各症状に加えて、長期の喫煙歴がある場合はCOPDが疑われます。問診である程度特定できることもありますが、確定診断のために以下の検査を行うこともあります。
肺機能検査
パイロメーターと呼ばれる測定器を用いて、肺の機能(呼吸機能)を調べる方法です。肺機能の低下がみられ、なおかつそれを起こしている他の疾患が確認されなければCOPDと診断します。
CT検査・レントゲン検査
レントゲン検査やCT検査によって、肺内の損傷状態を確認することもあります。特に重症例の場合に行う検査です。
※CT検査が必要な場合は適切な医療機関をご紹介いたします
COPDの治療
COPDの治療では、症状の軽減、悪化の予防、生活の質(QOL)の向上を目的とします。症状によって具体的な治療方法は異なりますが、基本的に重症化すればするほど治療が難しくなり、肺も元の状態に戻らなくなるため、早めの治療が大切です。
禁煙
喫煙は症状を悪化させるため、禁煙はCOPD治療の基本となります。患者様の喫煙歴やライフスタイルなどを考慮し、無理なく禁煙を目指せるように治療を進めていきます。
薬物療法
気管支拡張薬や吸入ステロイド薬などを用いて呼吸の補助と炎症の改善を行います。症状に応じて喀痰調整薬(痰をとる薬)や抗生物質を使用することもあります。
酸素療法・換気補助療法
重度のCOPDで正常な呼吸とガス交換ができていない場合は、酸素療法や換気補助療法によって酸素供給と二酸化炭素の排出を補助します。
外科的処置
COPDが重症化し肺の過膨張が起きている場合には、肺の切除手術を検討することもあります。
呼吸リハビリテーション
呼吸機能の低下は生活の質(QOL)にも影響を与えます。これを向上させるため、上記の治療方法とあわせて運動療法や呼吸筋のトレーニング、栄養指導などを行い、患者様の生活をサポートします。
ワクチン接種
COPDの直接的な治療とは異なりますが、COPDの方は感染症が重症化しやすい傾向にあります。感染症によってCOPDが急激に悪化することもあるので、インフルエンザなどのワクチン接種をおすすめします。