慢性呼吸不全

慢性呼吸不全とは?

慢性呼吸不全とは?

私たちは息を吸うことで空気中の酸素を取り込み、吐くことによって体内で産生された二酸化炭素を排出しています。このように、呼吸器官で行われる酸素と二酸化炭素のやり取りのことを「ガス交換」と呼びます。酸素は私たちがエネルギーを得るために必要不可欠な元素ですので、呼吸によって正常なガス交換が行われないと、たちまち健康が害されてしまいます。

このガス交換がうまくできない状態のことを「呼吸不全」と言い、呼吸不全が長期(1か月以上)にわたっている状態を「慢性呼吸不全」と呼びます。慢性呼吸不全は、慢性肺疾患や他の呼吸器障害によって引き起こされることが一般的です。

慢性呼吸不全の症状

慢性呼吸不全の主な自覚症状としては以下が挙げられます。症状がゆっくりと進行した場合は自覚症状に乏しいことが多く、呼吸不全に気づかないこともあります。

呼吸困難

呼吸の異常は呼吸不全の代表的な症状です。特に息切れが顕著で、わずかな労作でも息切れが起こることがあるほか、ひどい場合には衣服の着脱でも息切れが起こることもあります。ただし、ひどくなるまで自覚症状がないケースも少なくありません。

集中力の低下・貧血

体内に酸素が十分に取り込まれないと、体は低酸素状態となります。その状態が長く続くと中枢神経や臓器の機能が障害され、集中力の低下や貧血などの症状が現れることがあります。酸素不足で呼吸に使う筋肉が減ると、さらなる呼吸機能の低下が起こるため、悪循環をきたします。

頭痛・眠気・全身の倦怠感

呼吸不全によって二酸化炭素の蓄積が進むと、頭痛や血圧上昇、眠気、全身の倦怠感などの全身症状が現れます。ひどい場合には意識レベルの低下が起こることもあります。

慢性呼吸不全の原因

慢性呼吸不全の原因は多岐にわたりますが、代表的なものとしては以下が挙げられます。呼吸器の疾患が原因で起きていることが多く、日本ではCOPD(慢性閉塞性肺疾患)と結核後遺症が原因の多くを占めています。

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患
  • 結核後遺症
  • 気管支拡張症
  • 間質性肺炎(肺線維症)
  • 肺がん など

※呼吸器疾患以外にも、脊椎後側彎症などの胸郭疾患や、筋ジストロフィーなどの神経筋疾患も慢性呼吸不全の原因として考えられます

慢性呼吸不全の検査・診断

慢性呼吸不全が疑われる場合には以下の方法で検査を行い診断します。

肺機能検査

スパイロメーターと呼ばれる測定器を用い、肺を出入りする空気の量を調べます。肺機能の異常の有無が分かります。

血液ガス分析

主に動脈からの採血を行い、血液中の酸素レベルと二酸化炭素レベルを測定します。ガス交換が正常になされていないとこの値に異常が出ます。

レントゲン検査・CT検査

慢性呼吸不全は肺機能以外の原因で発症することもあります。肺を含めた胸部の異常を調べるために、状況に応じてレントゲンやCT検査を行うこともあります。

※CT検査が必要な場合は適切な医療機関をご紹介いたします

慢性呼吸不全の治療

慢性呼吸不全の治療では、まずは原因疾患の特定・治療が大切です。そのうえで不足した酸素を補い、蓄積した二酸化炭素の換気補助を行います。

低酸素状態への治療

慢性呼吸不全の方は、通常の空気からでは十分な酸素を得ることができないため、酸素濃縮器や液体酸素供給装置を用いて不足した酸素を補います。ご家庭でも使用できるものがありますので、在宅のままでの治療が可能です。

高二酸化炭素血症への治療

血液中の二酸化炭素濃度が上昇すると、頭痛や高血圧、発汗などの症状が現れます。この状態を改善するため、特殊なマスクを使用して簡便な人工呼吸を行います。二酸化炭素の排出を補助するだけでなく、疲労した呼吸筋を休ませる効果も期待できます。

呼吸リハビリテーション

慢性呼吸不全によって低下した生活の質(QOL)を向上させるため、上記の治療と併せて呼吸のリハビリを行うこともあります。運動療法や呼吸筋のトレーニング、栄養指導など、具体的なリハビリ内容は患者様によって異なります。

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