特発性肺線維症(IPF)

特発性肺線維症(IPF)とは?

特発性肺線維症(IPF)とは?

肺を構成する肺胞の壁のことを「間質」と呼び、この間質に炎症が起こる疾患のことを「間質性肺疾患」と言います。間質を含む肺胞は、炎症などで傷つくと自らを治そうとするのですが、損傷と治癒を繰り返すうちに厚く硬くなっていきます(線維化)。このように間質に線維化が起きた状態のことを総称して「肺線維症」と言い、そのうち原因不明なものが特発性肺線維症(IPF)です。

間質の線維化により徐々に肺機能が低下していくため、呼吸器症状をはじめ、肺がんや気胸、心不全などの様々な合併症を引き起こします。硬くなった肺は元に戻すことが困難なため、早めに治療をはじめて症状の進行を食い止める必要があります。

特発性肺線維症の症状

特発性肺線維症は進行性の疾患であり、初期症状はわずかですが、進行するにつれて次第に悪化していきます。以下の症状がゆっくりと進行していますが、風邪などを契機に急激に悪化することもあります。

慢性的な乾いた咳

痰の絡まない乾いた咳が慢性的に生じます。風邪でもないのに数ヶ月以上咳が続く場合はご注意ください。

息切れ

症状が進行するにつれて息切れしやすくなり、次第に日常生活のわずかな動作でも息切れが起こるようになります。

バチ指・チアノーゼ

指の爪端が盛り上がり、太鼓のバチのような形になることがあります。症状自体に痛みはありません。また、皮膚や爪が青紫色に変色する(チアノーゼ)こともあります。

特発性肺線維症の検査・診断

特発性肺線維症の症状自体はありふれたものであり、初期段階では自覚症状に乏しいため、他の病気の可能性がないか、的確に見極める必要があります。

肺機能検査

専用の測定器(スパイロメーター)を使用し、どのくらいの息を吸えるか、どのくらいの速さで吐けるかを検査し、肺機能をチェックします。特発性肺線維症になると肺機能が低下していきますので、治療をはじめてからも定期的に検査を行うこともあります。

動脈血液ガス分析

肺機能が低下して肺でのガス交換が正常に行われなくなると、血液中の酸素レベルと二酸化炭素レベルに異常が生じます。これらの値を動脈血から調べることでガス交換機能に異常がないかチェックします。

※動脈血液ガス検査が必要な場合は、適切な医療機関をご紹介いたします

レントゲン検査・CT検査

胸部の画像診断を行うため、上記の検査とあわせてレントゲン検査やCT検査を行うこともあります。

※CT検査が必要な場合は適切な医療機関をご紹介いたします

特発性肺線維症の治療

線維化を起こした肺は元には戻らないため、特発性肺線維症の治療では「症状の緩和」と「進行の抑制」をメインに、生活の質を向上させることを目指します。患者の症状や疾患の進行度によって治療の詳細は異なりますが、一般的な治療方法には以下が挙げられます。

薬物療法

ピルフェニドン、ニンテダニブなどの抗線維化薬を使用し、肺の線維化を抑えます。肺機能の低下を止めつつ、風邪などによる急激な悪化を防ぐ効果も期待できます。

酸素療法・換気補助療法

肺機能の低下によって正常な呼吸とガス交換がなされていない場合は、酸素療法や換気補助療法を行います。酸素ボンベを用いた酸素供給や、専用のマスクを使用した肺の換気の補助が可能です。

呼吸リハビリテーション

上記の治療方法とあわせて運動療法や呼吸筋のトレーニング、栄養指導などを行い、呼吸機能のリハビリテーションを行います。直接的な治療というより、肺機能の低下によって損なわれた患者様の生活の質(QOL)を向上させるための治療です。

ワクチン接種

特発性肺線維症は、風邪やインフルエンザなどの感染症が引き金となって急激に悪化することがあります。直接的な治療ではありませんが、定期的なワクチン接種によって感染症のリスクを軽減することは、病気の進行抑制に効果的です。

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