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肺結核とは?
結核は抗酸菌の一種である結核菌によって引き起こされる感染症で、特に肺に病変が生じたものを「肺結核」と言います。結核では肺の病変が多いですが、気管支や胸膜、腎臓、骨など様々な部位に病変を引き起こします(肺外結核)。
かつての日本では多くの方が結核によって亡くなっていたため、「国民病」とも呼ばれていました。生活水準の向上や治療薬の普及によって、現在では結核はかつてほどの脅威ではなくなっていますが、新規の罹患者がゼロになったわけではありません。海外ではいまだ広く感染が続いているため、エイズ・マラリアと並んで「世界の3大感染症」とも言われています。
肺結核の症状
肺結核の症状は風邪と似ていますが、症状が長く続くのが特徴です。進行すると血の混じった痰(血痰)が出たり、胸痛が出たりと風邪とは異なる症状が現れます。
また、風邪やインフルエンザとは異なり、症状がゆっくりと進行するのも特徴です。時に命に危険が及ぶほど重症化することもありますので、下記の症状が2週間以上続く場合は医療機関の受診をおすすめします。
※結核の疑いがある場合は、受診についてご来院前にお電話でご相談ください
- 慢性的な咳・痰(血痰)
- 胸痛
- 発熱
- 倦怠感
- 冷や汗
- 体重減少 など
肺結核の検査・診断
肺結核は以下の検査によって、結核菌への感染の有無を調べます。ただし、感染があっても発病しているとは限りません。
ツベルクリン反応検査
結核菌から精製した抗原(PPD:Purified Protein Derivative)を皮下に注射し、反応を観察します。陽性反応があれば追加で発病の有無を検査します。
IGRA検査(血液検査)
結核菌だけが持っているタンパク質を利用した検査で、血液を採取して行います。この検査で陽性反応があれば、追加で発病の有無を検査します。
喀痰検査
痰を採取・培養し、結核菌の量を調べる検査です。痰内に菌が大量に含まれている(陽性反応がある)場合は、結核を発病していると診断します。
クリニックで採取する以外にも、ご自宅で採取したもののご持参でも結構です(※)。
(※)ご持参くださる場合は事前にご連絡ください
レントゲン検査・CT検査
胸部のレントゲン検査を行い、結核が疑われる陰影がないか調べます。陰影が認められる場合は、CT検査を行ってさらに詳しく観察します。
※CT検査が必要な場合は適切な医療機関をご紹介いたします
肺結核の治療
結核を発症して菌を周囲にまき散らしている状態(排菌と言います)では、他人へ感染を広げる可能性があるため、入院による隔離治療が必要となります。ただし、発症しても排菌が確認されない場合は外来での通院治療、あるいは在宅治療も可能です。
かつて脅威だった結核も、現在ではしっかりと薬を飲むことでその多くが治る病気となっています。数ヶ月にわたる治療が必要となることもありますが、きちんと治療を継続して治すようにしましょう。
結核の薬物療法について
結核の治療は、3~4種類の肺結核薬の服用が基本となります。1~3ヶ月程度で症状が改善することもありますが、完全に治るまでさらに数ヶ月(全体で6~9ヶ月)かかります。お薬の服用で副作用が現れることもありますが、服薬の中断は耐性菌を作り出してしまう恐れがあるため、医師の指示通りに服用を続ける必要があります。
辛いかもしれませんが、きちんと結核を治すためにも適切に治療を継続してください。もちろん、副作用が生じた際には必ず医師へ相談してください。
BCG(結核)予防接種について
結核を予防するワクチン(BCG)もあります。1歳未満であれば公費での接種が可能です。
詳しくは以下をご覧ください。
結核治療費の公費負担について
結核の感染拡大を防ぐため、治療費を公費負担する制度もあります。詳しくは大阪府ホームページをご覧ください。